『初インド』到着してすぐ打ちのめされた夜。バックパッカーの思い出。

あと数ヶ月でセミリタイア予定の40代男性です。

これからは自由に旅行ができると考えたときに、昔のことが思い起こされてきました。

今から25年ほど前に、友人と卒業旅行に行ったときの話です。

初めての海外旅行で、行き先はインドでした。

インドを選んだ理由は、カルチャーショックを受け価値観が変わると本に書いてあったからです。

夜中にデリー空港に着き、タクシーを探しました。
空港の外は思っていた通りの物々しい雰囲気。これを望んでインドを選んだけど、初めての海外旅行、さすがに不安になりました。

安宿街に行ってくれと運転手に伝えました。出発直前、助手席にインド人の男が乗り込んできて、おかしいなと感じたけど、何も言えなかった。

タクシーの窓から見る街の風景は、スラム街のような物々しさを漂わせていて、乗り込んできた謎の男の存在が頭の中をぐるぐると回り、不安はさらに高まってきました。

僕たちは狭くて、暗い路地で降ろされました。明かりのほとんどないその路地で、僕たちの周りに何人かのインド人が集まってきました。

足もとからじわじわと恐怖が忍び寄ってくるのを感じました。たぶん皆、震えていたと思います。

そして、僕たちは、ここに入れと言われた。そこはツーリストインフォメーションと看板がある。

だけど、ここに入ったらヤバい、人生終わるかもと恐れた。その時、僕たちは4人いたけど、全員で入ったらその時点で、皆終わりだと思った。それぐらい街や路地の雰囲気は暗く、恐ろしかった。

僕たちは、2人ずつ入ることにしました。

先に入った2人を待っている時間はとにかく長く、何かされてないだろうか、なんで僕らはこんなとこに来てしまったんだろうかと感じていました。

2人が出てきて、表情を見ると、少し和らいでいる。どうやら、本物のツーリストインフォメーションだったようです。

そして、4人全員でその中に入り、宿を紹介されました。安宿を望んでいた僕たちの心はすでに打ちのめされていて、選択の余地はなかった。

なんとかできた値切り交渉は、ベッドが2つしかない部屋に男4人で泊まることでした。

それで、一人3000円ほどの宿に泊まることになった。

ジャンケンをして、負けた2人は床に寝袋で寝ようと決めました。

幸か不幸か僕はジャンケンに勝ちベッドで寝ることになった。正直に言うと、負けても良かった。そのほうが求めていた貧乏旅行に近づけると感じていたのです。

いずれにしても、300円ほどの安宿に泊まろうと考えていた僕たちは初日から、ぼったくられ、予定より10倍多く払うことになりました。

翌朝、宿を引き払い外に出ると、街は明るかった。昨日の恐怖はなんだったのか、と思うほどに明るかったのです。

安心感とともに、旅の始まりを感じて、心に熱いものがわきあがってきました。

しばらく旅行を続け、予定通り帰国した友人と別れて、一人旅をすることになりました。

その後も大変な目にあいましたが今でも忘れられないほろ苦い思い出となりました。

今となっては、あのときのような熱狂はもう感じられないかもしれません。

年齢を重ね、得たものも失うものもあります。寂しさも感じますが、新たな旅を続けていこう思います。

それでは。